【治療理念】
精神科及び、メンタル科における薬物療法の現在を考えると、いわゆる向精神薬が向精神薬病薬と抗不安薬、抗鬱薬、抗躁病等に単純に分類され用いられていた時期は終わりつつある。
精神科領域の疾病類が内因性のものが主であった時代は終わり、ストレス、疲労の蓄積が起因となる精神病状態が現在の精神科、メンタル科で多くみられるようになり、その精神症状は社会不安障害、強迫障害、解離性障害等、意識下の緊張を起因とする精神病状態として現れる事が多くなった。
この為、精神科、メンタル科では意識下の緊張を緩和する手段として精神療法(認知療法)の応用や、SSRI、SNRIの使用、対症療法としての抗不安薬の頓服使用が主となりつつある様に思う。翻って考えれば、精神病質障害がクリニック外来場面では少なくなっており、仕事内容、対人関係のストレスから誰でもなりうる、反応性精神症状が多くなっている事は明らかである。
現在の精神科医に求められる資質の一つにはひろく向精神薬を個々の患者さんに適応できるようにアレンジし、特に最近多くなってきている旧精神科Ⅱ軸診断である、人格障害群に精神症状に衝動性、自傷行為、攻撃性等にSDA(MALTA)の少量投与を敵宜行えることが重要ではないだろうか。これは旧来のカテコリスムで精神科薬を振り分けてきたスタイルからの移行である。
さて、患者さんの側からみると自分がメンタル科、精神科、心療内科の括りに属しているという抵抗が少なくなってきており、インターネット等の媒介から自己判断して精神科、メンタル科の門戸を自ら叩く人も多くなってきている。不安発作、頭痛、過換気等、自律神経由来症状を精神科、メンタル科の範疇にあると考え、かつ、ストレス因を自ら認識して来院される患者さんも多く、精神科、メンタル科は現在のストレス化社会によって生じた歪に直接対峙する重要な役割を担っていると思われる。真摯に多彩な患者さんの社会因とも言うべき訴えを傾聴し正確にそれに適応した支持的または、その他の精神療法的アプローチを行い併せて最適な精神薬の選択を行う責務が精神科、メンタル科、心療内科の医師にあるといえよう。 |